2022年 年間ベストアルバムトップ20

 

はじめに

どうも初めまして雨宮と申します。ブログにこうして記事を書くのは初めてなので至らぬ点は多々あると思いますが、大目に見ていただければ幸いです。まだ12月は始まったばかりで、思わぬ傑作が今後リリースされる可能性もありますがここは一足早く、今年の特にお気に入りのアルバム全20作品をコメント付きで書いてみました。それでは早速見ていきましょう。

 

20位 Quadeca / I Didn't Mean to Haunt You

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フォークトロニカ、エモラップ、アートポップ、アンビエント、インダストリアル等の諸要素を密室空間で練り上げたようなプロダクションが印象的なアルバム。まだ22歳というのが末恐ろしいですね…。

 

19位 Kaitlyn Aurelia Smith / Let's Turn It Into Sound

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全体通して非常にエクスペリメンタルな電子音楽なんだけれども、そこはリスナーを遠ざけ過ぎない程度にポップな味わいも確かにあって、そこの絶妙な塩梅が良いと思いました。

 

18位 Thornhill / Heroine

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近年のメタルシーンにおいて絶大な存在感とリスペクトを集める存在、Deftones。ThornhillもまたDetones直系の轟音美学要素を至る所に感じるわけですが、彼らはスクリームをそこまで多用せずほぼ全編がクリーン主体なのはフレッシュさを感じます。Loatheと共に今後規模がデカくなってほしいバンド。

 

17位 The Weeknd / Dawn FM

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今年の最初の衝撃は間違いなくこの作品。どこか懐かしい感じのする80sの雰囲気を湛えたラジオ仕立てのコンセプトアルバム。ウィークエンドの伸びやかで美しい声とダンサブルなシンセの化学反応は見事。

 

16位 AURORA / The Gods We Can Touch

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ノルウェーのポップシンガーによる通算3枚目。北欧の冷気に当てられながら、身体の上に優しく毛布を被せてくれるような、そんな温かい気持ちにこれを聴くとなります。フォークやエレクトロ、アンビエントなどの要素をキュートなポップに纏めた作品。

 

15位 Sam Prekop and John McEntire / Sons Of

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愛くるしさ満点の2匹の黒猫ジャケットが印象的な1枚。リスニング・テクノとしてとても上質で聴き心地が最高なアルバム。夜に聴いてリラックスしたい。

 

14位 宇多田ヒカル / BADモード

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これだけのビッグネームなのにこのアルバムを聴くまで宇多田ヒカルを通ってなかったのが恥ずかしいのですが、これは噂に違わぬ大変な傑作だと思いましたね。前半も中盤も聴き逃せないんですけど、特に本編ラストの「Somewhere Near Marseilles ーマルセイユ辺りー」は音の緻密な作り込みからメロディから何から何まで素晴らしく、アルバムの流れ全てがこの曲を聴かせるための過程なんだと思わされます。

 

13位 Show Me The Body / Trouble The Water

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スラッジメタル、インダストリアル、ハードコア・パンク、ヒップホップ等の要素が混在したUSハードコアバンド。本当に今年思うのはジャンルの垣根を容易くぶち壊してしまうような、カテゴライズ不可能のアルバムが続出したと思うんですが今作もそれらに連なる痛快な1枚。

 

12位 Beth Orton / Weather Alive

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街や人混みの喧騒から遠く離れた所で鳴らされる寂寞感を湛えた美しいサウンド。個人的にこれを聴いててDavid Bowieの遺作であり傑作『Blackstar』を彷彿とさせました。

 

11位 藤井風 / LOVE ALL SERVE ALL

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今やもう飛ぶ鳥を落とす勢いで世界的にも知名度を上げつつある藤井風。とにかく彼は複雑そうな素材を極上なポップスにいとも容易く調理してしまうんですよね。そして歌詞の面でも死に対する達観した目線だとかは本当に自分と同じくらいの年代かと疑ってしまうほどです笑。今後もますます活躍が楽しみな才能溢れるアーティスト。

 

10位 ASPIDISTRAFLY / Alter of Dreams

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シンガポール発の男女デュオ。ボーカルApril Leeの美しい声色を生かした極上のアンビエントポップアルバム。コロナ禍以降の音楽には「心・魂を癒す」という役割が登場したように思うのですが、今作はそんな印象を僕に与えます。魂の癒しとしてのヒーリングミュージック。

 

9位 Working Men's Club / Fear Fear

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これぞUK!という趣のある1枚。ダークでインダストリアルなシンセポップは現代のDpeche Modeのような貫禄があります。しかしUKの音楽シーンは若手でありながら実力を兼ね備えるポストパンクバンドがどんどん雪崩れ込んで来ますねー。

 

8位 Bloodywood / Rakshak

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インド版LINKIN PARK、インド版SLIPKNOT、インド版BRING ME THE HORIZNなどの形容が思い浮かぶインド産メタルバンドの1st。全体的にニューメタル色が強いんですけどあらゆるセクションにインド的ニュアンスを塗してとても独自性のあるカッコイイメタルアルバムに仕上がってます。今年のフジロックにも参加してましたね。

 

7位 bonobos / .jp

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恥ずかしくもこのアルバムを聴くまではこのバンドの事を知らなかったのですが、これを聴いて衝撃を受けた。とにかくここで鳴らされるあらゆる音が未知の快感があり新鮮な刺激を齎してくれる。ロックというものはまだ枯渇しておらずまだまだ未知の可能性に溢れているという事を思い知らされた作品です。今作を持ってbonobosは解散してしまうようでこれがラストアルバムになってしまうのが本当に残念…。

 

6位 JOHNNASCUS / Sitting At the End of the World

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Death Grips + Slipknotの悪魔融合みたいなサウンドにハイパーポップ的文脈も乗っかったラウドでハードコアでデジタルなヒップホップの傑作だと思います。自分はこういう異常なビートのヒップホップに弱い。

 

5位 春ねむり / 春火燎原

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エレクトロニカやハードコア、アンビエントなどの多種多様なジャンルのトラックに魂から発せられたかの如き強烈な響きを湛えた情感たっぷりな歌が全21曲62分によって繰り広げられる壮大な歌の旅路。椎名林檎Coccoなどが好きな人にもオススメです。

 

4位 syrup16g / Les Misé blue

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個人的には傑作『COPY』に引けを取らないアルバムだなという印象を持ちました。乾いたオルタナティブサウンドに鬱屈とした歌詞という昔からの表現スタイルを更に洗練し深化させた快作。生きていく上であらゆるものが欠落したどうしようもない俺が、それでも生きていいんだという諦めにも似た希望のような何か。僕が最初にこれを聴いて思ったのは五十嵐隆という人間に対するただ「ありがとう」の一言だった。

 

3位 THE SPELLBOUND / THE SPELLBOUND

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THE NOVEMBERS林祐介BOOM BOOM SATELLITES中野雅之によるユニットの1st。EDM、ブレイクコアグリッチポップ、アートロック等を飲み込んだ中野雅之手掛ける多様なトラックに、近年表現者として凄みを増しつつある小林祐介の伸びやかなハイトーンヴォイスが美しい協奏を奏でる。今後も長い付き合いになりそうなアルバムです。

 

2位 DIR EN GREY / PHALARIS

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「痛み」を表現におけるテーマとして掲げるヴィジュアル系の大御所バンド、その最新作。宗教色が強く美メロが強調される等の共通項で過去の作品で1番想起したのは『ARCHE』なんだけど、そこに『UROBOROS』や『DUM SPIRO SPERO』期のようなエクストリームかつアバンギャルドな音像を今のDIR EN GREYで接続してみせたような味わいがあって素晴らしいです。あと京さんの歌詩は昔に比べるとグロテスクな表現が減って、聴き手を優しく包み込むような優しさが至る所に滲み出て来た気がするのですがどうでしょうか。これだけの活動歴でも停滞とは無縁の創作姿勢は僕の崇拝するBUCK-TICKと重なる所もあります。

 

1位 black midi / Hellfire

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UKサウス・ロンドンの3ピースロックバンドの3rdアルバム。プログレッシブロック、マスロック、ポストパンク、ノイズロック、フリージャズ、フォーク、ヒップホップ等様々なジャンルを無節操とも言える姿勢で取り込み、それを僅か10曲40分足らずで聴かせてしまうのは恐ろしい才能だと言える。2022年の音楽をこうして見渡してみると、一つのジャンルのみでアーティストを語るのは最早不可能に近く、ジャンル間を軽々と横断していく傑作が多かったように思う。black midi『Hellfire』はそうした手法を最も僕の理想的な形で表現したアルバムかつリピート数が今年の新譜で断トツなのもあって年間ベスト1位はこの作品以外考えられませんでした。